Obsidianを入れてみた ― 「第二の脳」って何なのか気になって

最近「第二の脳」という言葉をよく目にします。気になって調べてみたら、Obsidianというアプリが出てきました。入れてみたら、中身はただのマークダウンでした。そしてそれが、AIとの相性でいちばん効いてくる部分でした。

目次
  1. Obsidianは、マークダウンを見やすくしてくれるアプリ
  2. お金の話:本体は無料
  3. マークダウンだから、AIと相性がいい
  4. ローカルファイルを直接読めるAIと組み合わせる
  5. CLAUDE.mdを短くできる
  6. スキルにするのはどうだろう
  7. これまでのチャット履歴も取り込める
  8. 入れただけでは、何も溜まらない
  9. まだ始めたばかり

最近、「第二の脳」という言葉をよく目にします。

自分の考えや調べたことを書き溜めていくと、それが第二の脳になる、という話です。見かける回数が増えてくると、だんだん気になってきます。

調べてみたら、Obsidianというアプリが出てきました。気になったので入れてみました。

Obsidianは、マークダウンを見やすくしてくれるアプリ

入れてみて最初に思ったのは、想像よりずっと地味だったということです。

Obsidianの正体は、フォルダの中にあるマークダウンのファイルを、人間が見やすいように並べてくれるアプリでした。ファイル一覧がサイドバーに出て、クリックすれば開ける。それだけです。

ここが自分にとって大事だったのですが、中身はただの .md ファイルです。特別な形式に変換されるわけではありません。Obsidianを消しても、フォルダの中にマークダウンが残るだけ。

そしてもうひとつ、普通のエディタと違うところがありました。ノートとノートをリンクでつなげられることです。

テキスト
[[経歴]] のことは、こっちのノートに書いた

こう書くと、リンク先のノートを開いたときに「このノートを参照しているノート」が右のサイドバーに出てきます(設定を変えれば、ノートの下に並べることもできます)。自分で探しに行かなくても、関係あるものが向こうから出てくる感じです。

補足

保管庫(Vault)と呼ばれるフォルダを、自分で好きな場所に作ります。私はブログのフォルダの隣に置きました。あとで書きますが、これが結果的によかったです。

お金の話:本体は無料

料金が気になったので、公式の料金ページを見てきました。

種類 料金 内容
本体 無料 サインアップも不要。仕事で使っても無料
Sync(Standard) 月 $4〜5 端末間でノートを同期する
Publish 月 $8〜10 ノートをWebで公開する
商用ライセンス $50/人/年 必須ではない。組織で使うなら購入を推奨、という位置づけ

つまり、ObsidianのSyncとPublishを使わなければ、お金はかかりません。

同期そのものが有料というわけでもなくて、保管庫をiCloudやGitに置いておく方法も公式に案内されています。そちらなら無料です。

私はいまMacの中だけで使っているので、どちらにしてもタダの範囲です。スマホでも同じノートを見たくなったら、そのときに考えようと思っています。

無料なら、ちょっとやってみようかなと思えました。ここで月額がかかるなら、たぶん試していなかったと思います。

注意

料金は変わることがあります。2026年9月時点で公式ページを見た内容です。使う前に自分で確認してください。

マークダウンだから、AIと相性がいい

ここからが、入れてみて一番おもしろかったところです。

前にマークダウンをAIにHTMLへ直してもらう話を書きました。マークダウンは人間には読みにくいけれど、AIには読みやすい形式です。

Obsidianの中身は、そのマークダウンそのものです。ということは、AIにそのまま渡せるということになります。

ここが、他のメモアプリとの違いだと思いました。

  • 変換がいらない — エクスポートという工程を挟まずに、ファイルをそのまま読ませられる
  • どのツールにも縛られない — Obsidianをやめても、テキストファイルとして残る
  • たぶん何年後でも開ける — 特別な形式ではないので

人間が読みやすいようにObsidianで整えて、AIにはマークダウンのまま渡す。同じファイルで両方できるのが、思っていたよりずっと気持ちよかったです。

ローカルファイルを直接読めるAIと組み合わせる

ただ、ここで一段ややこしいことに気づきました。

AIといっても、フォルダが見えるものと見えないものがあります。

ブラウザで動くAIは、Macのフォルダが見えないブラウザで動くChatGPTやClaudeのチャットと、Macのフォルダの間には線が通っておらず、途中に×印が付いている。フォルダの中を自分で探してもらうことはできないため、必要なものは自分で選んで渡すことになる。ブラウザで動くAI自分で渡すChatGPT / Claude見えないMacのフォルダフォルダの中は探せない手元で動くAIは、Macのフォルダを直接読めるMacの中で動くClaude CodeとMacのフォルダが、上下両向きの矢印でつながっている。ファイルをそのまま読むだけでなく、書き込むこともできる。手元で動くAI直接読めるClaude CodeそのままMacのフォルダ読み書きまでできる
同じAIでも、手元で動くものはフォルダの中を直接読める

ブラウザで使うChatGPTやClaudeのチャットは、私のMacの中を見ることができません。当たり前ですが、ブラウザの向こう側で動いているので。なので渡したいものがあれば、自分でコピーして貼り付けるか、ファイルをアップロードすることになります。

一方、Claude Codeは自分のMacの中で動いています。だからフォルダの中のファイルを、そのまま読めます。しかも読むだけでなく、書き込むこともできます。

補足

AIが考えている部分は、Claude Codeでもネットの向こう側です。ファイルを触る部分が自分のMacの中で動いている、という意味で書いています。

つまり、こういうことができます。

テキスト
今日の分、保管庫のデイリーノートに残しておいて

これだけで、AIがノートを書いてくれます。自分でObsidianを開く必要すらありません。

実際にやってみました。自分の経歴や、いま個人開発でやっていることを話したら、数枚のノートに整理して保管庫に置いてくれました。

しかもそのとき、自分では気づいていなかった共通点を指摘されました。並べてみるまで自分でも見えていなかった話です。100枚のメモを一度に見渡して傾向を言い当てるのは、人間には無理だなと思いました。

ポイント

AIが書いたノートには、わざと「未記入」の欄を残してもらっています。なぜそれを選んだのか、どこで詰まったのか。そこは自分しか書けない部分なので。

CLAUDE.mdを短くできる

ここが個人的に一番うれしかったところです。

前にskillを作った記事で書きましたが、Claude Codeには CLAUDE.md という「毎回読まれる指示ファイル」を置けます。

これに自分のことを全部書けば、毎回いい感じの返事が返ってくるはずです。……と思ったのですが、CLAUDE.md は毎回読まれるので、長くすると毎回それを読む分が重くなります。他の大事なことが薄まってしまう。

そこで、2階建てにするという考え方を教わりました。

保管庫とCLAUDE.mdの2層構造上から順に4つの箱が縦に並んでいる。1つ目はChatGPTやClaudeのチャット履歴(これから取り込む部分)。エクスポートして、2つ目の保管庫(Obsidian)へ入れる。保管庫は長くてよく、必要な時だけ読まれる。そこから要点だけを、3つ目のCLAUDE.md(これから作る部分)に書き写す。CLAUDE.mdは短く、毎回読まれる。最後に4つ目のClaude Codeがそれを毎回読み、自分向けの返事になる。チャット履歴ChatGPT・Claude保管庫(Obsidian)長くてよい・必要な時だけCLAUDE.md短く・毎回読まれるClaude Code自分向けの返事になるこれからこれからエクスポート要点だけ毎回読む
保管庫は長くてよく、CLAUDE.mdは短く保つ(点線は、これから作る部分)
  • CLAUDE.md は短く保つ。前提と、注意してほしいことだけ
  • 保管庫は長くていい。詳しい経歴や、考えたことの記録はこっちに置く

こうすると、CLAUDE.md は軽いまま、深い話が必要になったときだけAIが保管庫を読みに行ってくれます。保管庫を育てても、毎回のコストは増えないわけです。

注意

ひとつ落とし穴があります。CLAUDE.md に「詳しいことは保管庫にある」と書いておかないと、AIは保管庫を見に行きません。フォルダがあるだけでは、存在に気づいてもらえません。それと、保管庫をブログとは別のフォルダに置いている場合は、/add-dir などで保管庫を作業対象に加えておく必要もあります。場所を書いておくだけでは、そもそも触れません。

スキルにするのはどうだろう

ここで、前にskillとやらを作成してみたで書いたスキルを思い出しました。保管庫を読んでから返事してもらうスキルを作ればいいのでは、と思いました。

調べてみると、これはできるようです。スキルは手順書だけでなく、必要なときに読む参考資料としても使えます。しかも自分で /名前 と呼び出すだけでなく、Claude側が「いまこれが要りそうだ」と判断して自分で開くこともあるそうです。

そのうえで、置き場所の使い分けはこうなりそうです。

置き場所 いつ効くか 向いていること
CLAUDE.md 毎回 必ず効かせたい前提、注意してほしいこと
保管庫 必要なときだけ 詳しい記録、考えたこと
スキル 必要な場面で たまに使う知識、繰り返す作業の手順

毎回かならず効いてほしいことは CLAUDE.md、場面ごとに必要になるものはスキル。そういう分け方だと理解しました。

スキルにすると良さそうなのは、こういうものかなと思っています。

  • 今日の分を、保管庫のデイリーノートに書いてもらう
  • 保管庫を全部読んで、ブログのネタを出してもらう
  • 同じ話題が何回出てきたか数えて、1枚のノートに切り出してもらう

ちなみにこの記事も、/write というスキルで書いています。

これまでのチャット履歴も取り込める

もうひとつ知って驚いたのが、これまでのAIとのやり取りをまとめて取り出せることです。

ChatGPTにもClaudeにも、エクスポート機能があります(個人アカウントの場合。会社で配られたアカウントだと条件が違うようです)。設定の中にあって、実行するとメールでダウンロードリンクが届きます。中身は、会話がまとめて入ったファイルです(ChatGPTの場合は conversations.json)。

自分がこれまで何を聞いてきたかの記録なので、材料としてはかなり強いはずです。

ただ、全部そのまま保管庫に入れるのはやめておこうと思いました。理由は2つあります。

  1. 量で埋まる — 数百件の会話を放り込むと、自分で書いた数枚のノートが埋もれてしまう
  2. 中身のほとんどがAIの発言 — AIが書いた文章は、また聞けば出てきます。保存する意味が薄い

残す価値があるのは、自分が何を聞いたか、どこで引っかかったかのほうです。なので生のログは保管庫の外に置いて、そこから抽出したものだけを中に入れる形にしようと思っています。

とはいえ、材料としてはかなりおもしろそうです。いつか時間があるときに、これまでのやり取りを全部取り出してみたいと思っています。何を聞いてきたかを並べたら、自分の興味がどう動いてきたのかが見えそうなので。

注意

エクスポートには、AIに話したことが全部入ります。保管庫をGitHubで管理するつもりなら、生のログを中に置かないほうが安全です。うっかり公開してしまうと戻せません。

入れただけでは、何も溜まらない

ここは書いておきたいところです。

Obsidianを入れたとき、勝手に何かが溜まっていくのかと思っていました。AIが要約してくれるとか、作業を記録してくれるとか。

そんな機能はありませんでした。ダウンロードしただけでは、ファイルは1枚も増えません。書かないかぎり、空のフォルダのままです。

だから「第二の脳」という言葉は、正直かなり盛られているなと思いました。実態はリンクがつなげられるメモ帳です。

ただ、それでも本当だと思った部分がひとつあります。過去の自分が書いた理由が残ることです。

半年後に「なんでこれを選んだんだっけ」と思ったとき、当時の判断が理由付きで残っている。自分は結論だけ覚えて理由を忘れるタイプなので、ここは記憶ではどうにもなりません。

ポイント

設定で触ったのは1つだけです。「ファイルとリンク(Files & links)」の「デフォルトで開くファイル(Default file to open)」を「デイリーノート」にしました。効くのはやる気が出るからではなく、「どこに書けばいいか考える手間」が消えるからだと思います。以前はデイリーノートの設定の中に「起動時に開く」という項目があったそうですが、いまはここに移っています。

まだ始めたばかり

いまのところ、保管庫にあるノートは数枚です。グラフを表示させても、点がちょっとつながっているだけで、まだ全然さみしい状態です。

フォルダ構成をどうするとか、プラグインを何を入れるとか、調べると出てくるのですが、そこを頑張ると中身が空のまま満足してしまいそうなので、しばらく触らないでおこうと思います。

しばらくは、1日3行くらいでやってみます。続いたら、CLAUDE.md から保管庫を見に行ってもらう形と、保管庫まわりのスキルを作るところまでやってみたいなと思っています。