感音性難聴ってどんな聞こえ方?生まれつき難聴の私がイラストで例えてみた

音は聞こえる。でも、何を言っているのかわからない。生まれつき感音性難聴の私が、この「聞こえているのに、聞き取れない」感覚を、ぼんやり見えるりんごと虫食い問題の2つのイラストで例えました。難聴がわかった小学生の頃のことや、感音性難聴の仕組みも紹介します。

目次
  1. 私が感音性難聴だとわかったのは小学生の頃
  2. 子どもの頃は、自分の耳が悪いという自覚があまりなかった
  3. 振り返ると、友達には恵まれていた
  4. そもそも感音性難聴って何?
  5. 感音性難聴の聞こえ方を「りんご」で例えてみる
  6. 一般的な聞こえ方のイメージ
  7. 私の場合(感音性難聴)
  8. 会話はまるで「虫食い問題」を解いているようなもの
  9. 一般的な聞こえ方の場合
  10. 私の場合(感音性難聴)
  11. だから、聞き間違えることもある
  12. 生まれつきだからこそ、自分の聞こえ方が普通だった
  13. さいごに|感音性難聴の聞こえ方は人それぞれ

「感音性難聴」という言葉を聞いたことがありますか?

私は生まれつき感音性難聴です。

とはいっても、まったく音が聞こえないわけではありません。

音は聞こえる。でも、何を言っているのかわからない。

そんなことが日常的にあります。

「聞こえているのに、聞き取れないってどういうこと?」

そう思う方もいるかもしれません。

実は、私自身も長い間、自分の耳がほかの人とどう違うのか、うまく説明できませんでした。

なにしろ、生まれたときからこの聞こえ方なので、これが当たり前だったんですよね。

今回は、生まれつき感音性難聴の私が、これまでの経験を振り返りながら、感音性難聴の聞こえ方をイラストで例えてみたいと思います。

少しでも「なるほど、そういう感じなのか!」と伝わればうれしいです。

私が感音性難聴だとわかったのは小学生の頃

私は生まれつき感音性難聴なのですが、実は赤ちゃんの頃には難聴だとわかっていませんでした。

生まれて間もない頃、赤ちゃんの耳の聞こえを調べる検査を受けたそうです。

その検査では問題が見つからなかったため、両親も私の耳が悪いとは思っていませんでした。

保育園でも、先生から「聞き取れていないようです」と指摘されたことはなかったそうです。

そんなわけで、特に難聴を疑われることもなく、小学校へと進みました。

ところが、成長するにつれて、少しずつ気になることが出てきたようです。

例えば、名前を呼んでも振り返らない。

話しかけても反応が鈍い。

そういった様子から、どうも耳の聞こえに問題があるのではないかと気づき、検査を受けた結果、感音性難聴だとわかりました。

補足

新生児の聴覚検査で問題が見つからなくても、その後に難聴が判明するケースはあります。私の場合も、幼い頃には気づかれず、小学生の頃にわかったという経緯でした。

子どもの頃は、自分の耳が悪いという自覚があまりなかった

「感音性難聴です」

そう言われても、小学生だった私には、正直なところ何のことだかよくわかりませんでした。

漢字も難しいですしね(笑)。

ただ、耳が少し悪いんだな、という程度の認識でした。

もちろん、日常生活で困ることはありました。

例えば、友達同士のこそこそ話。

小さな声で話されると、何を言っているのかわからない。

普通の会話でも、何度も聞き返してしまうことがありました。

でも、私にとってはそれが当たり前。

ほかの人がどのくらい聞こえているのかなんて、わかりません。

だから当時は、聞き取れないことについても、

「自分はちょっと耳が悪いだけなんだろうな」

「もしかしたら、自分の理解力が足りないだけなのかな」

そんなふうに、自分の中で捉えていたように思います。

今考えると、聞こえないことと理解できないことは別の問題なのですが、子どもの頃にはその違いもよくわかっていなかったんですよね。

振り返ると、友達には恵まれていた

ただ、ありがたいことに、周囲の友達から耳のことで嫌なことを言われた記憶はほとんどありません。

もちろん、聞き返したときに、

「耳悪いな〜(笑)」

なんて冗談交じりに言われることはありました。

でも、それは私にとって嫌なものではありませんでした。

私も笑いながら、

「ごめんごめん(笑)」

と返す。

そんな関係だったんですよね。

今になって振り返ると、あれは友達なりの優しさだったのかなと思います。

変に気を遣われるわけでもなく、かといって仲間外れにされるわけでもない。

自然に接してくれていた。

当時は特別なことだと思っていませんでしたが、今考えると、私はずいぶん優しさに包まれていたんだなと感じます。

そもそも感音性難聴って何?

ここで、感音性難聴について簡単に説明しておきます。

難聴にはいくつか種類がありますが、感音性難聴は、主に内耳の蝸牛(かぎゅう)や聴神経など、音を感じ取って脳へ伝える仕組みに問題が生じる難聴です。

音が耳から脳へ届くまでと、感音性難聴で問題が生じる場所音は、外耳、中耳、内耳の蝸牛、聴神経の順に伝わり、脳で音や言葉として受け取られる。感音性難聴で問題が生じるのは、主に内耳の蝸牛と聴神経のあたり。感音性難聴で問題が生じるところ外耳耳の穴。音の入口中耳鼓膜と小さな骨が振動を伝える内耳(蝸牛)振動を電気の信号に変える聴神経信号を脳へ送る脳音や言葉として受け取る
音が脳へ届くまでの道のり

単純に音が小さく聞こえるだけではなく、音がひずんだり、言葉を聞き分けにくくなったりすることがあります。

例えば、誰かが話していることはわかる。

声も聞こえている。

でも、肝心の言葉がはっきりしない。

そんな状態です。

補足

感音性難聴といっても、聞こえ方には個人差があります。難聴の程度や聞き取りにくい音も人によって異なります。ここからは、あくまで私自身が感じている聞こえ方について説明していきます。

感音性難聴の聞こえ方を「りんご」で例えてみる

感音性難聴についてインターネットで調べると、

「音は聞こえるけれど、言葉として聞き取れない」

といった説明をよく見かけます。

確かに、そのとおりだと思います。

ただ、私の場合は、そもそも音を聞き取る力自体も弱いので、余計にわかりにくい。

そして何より、自分自身が生まれつき感音性難聴なので、ほかの人との違いを具体的にイメージすることが難しかったんです。

そんな私ですが、大人になってから、ようやく自分の聞こえ方を説明できそうな例えを思いつきました。

それが、りんごの見え方です。

一般的な聞こえ方のイメージ

目の前に、1つのりんごがあるとします。

視力に問題がなければ、赤いりんごがくっきり見えますよね。

輪郭もはっきりしていて、形もわかる。

誰が見ても、

「あ、りんごだ!」

と判断できます。

これが、私のイメージする一般的な聞こえ方です。

私の場合(感音性難聴)

では、感音性難聴の私の場合はどうでしょうか。

同じように目の前にりんごがあったとしても、全体がぼんやりしているようなイメージです。

赤い色は見える。

何かがそこにあることもわかる。

でも、輪郭がはっきりしない。

まるで視力が悪い状態で、眼鏡をかけずに物を見ているような感じでしょうか。

「赤い何かがあるな」

ということはわかるのですが、それがりんごなのか、別の物なのか、すぐには判断できない。

「りんご?」

「トマト?」

「いちご?」

そんなふうに、悩んでしまうんです。

一般的な聞こえ方のイメージ

「あ、りんごだ!」

私の場合(感音性難聴)

「赤い何かがあるな」

りんご?トマト?いちご?

聞こえ方を、りんごの見え方に例えました

これを音に置き換えてみてください。

誰かが話している。

声が聞こえていることはわかる。

でも、その声がはっきりした言葉として認識できない。

私にとって、感音性難聴とはそんなイメージなんです。

補足

実際に目がぼやけて見えるわけではありません。あくまで、音の聞き取りにくさを視覚的に表現した例えです。

ただ、この例えを思いついたとき、

「ああ、こう説明すれば伝わりやすいかもしれない!」

と思いました。

会話はまるで「虫食い問題」を解いているようなもの

もう1つ、感音性難聴について印象に残っている説明があります。

それは、病院で聴力の検査を受けたときのことです。

そのとき、こんなことを言われました。

「あなたは、相手の話を虫食い問題のように受け取っているんですよ」

最初はどういうことだろうと思いました。

でも、説明を聞いて納得しました。

一般的な聞こえ方の場合

例えば、誰かが次のように話したとします。

「今日は天気がいいので、公園に散歩に行きましょう」

一般的な聞こえ方であれば、相手の言葉をそのまま受け取ることができます。

文章にすると、文字がすべてきれいに並んでいるような状態です。

私の場合(感音性難聴)

ところが、私の場合は少し違います。

例えば、同じ言葉を聞いていても、

「今日は〇〇がいいので、〇〇に散歩に〇〇ましょう」

こんなふうに、一部分が抜け落ちたように感じることがあります。

さらに、聞こえている部分も必ずしも鮮明ではありません。

文字に例えるなら、ところどころに穴が空いていたり、文字がにじんでいたりするようなイメージです。

一般的な聞こえ方のイメージ

今日は天気がいいので、公園に散歩に行きましょう

文字がすべて、きれいに並んでいる

私の場合(感音性難聴)

今日はがいいので、に散歩にましょう

抜けたところは、前後から予測して補う

同じ言葉でも、穴が空いて、にじんで届きます

では、そんな状態でどうやって会話しているのでしょうか。

答えは、前後の文脈から予測しているということです。

「今日は〇〇がいいので」

「〇〇に散歩に〇〇ましょう」

ここまで聞こえれば、おそらく天気の話をしていて、どこかに散歩に行こうと誘っているんだろうな、と推測できます。

そして、頭の中で抜け落ちた部分を補いながら、会話を理解しているわけです。

病院でこの説明を聞いたとき、

「ああ、なるほど。確かにそうかもしれない」

と思いました。

それまで自分では特に意識していなかったのですが、言われてみれば、普段からこうやって会話しているんですよね。

だから、聞き間違えることもある

もちろん、予測がいつも正しいとは限りません。

聞き取れなかった部分を、前後の会話から勝手に補っているわけですから、当然間違えることもあります。

特に、話の流れがわからない状態で突然話しかけられると、何を言われているのか理解するのが難しくなります。

反対に、話題がわかっていれば、多少聞き取れない部分があっても理解できることがあります。

これも、私が普段の生活で感じていることです。

単純に「声を大きくすれば聞き取れる」というわけではないんですよね。

音量だけでなく、言葉がどれだけ明瞭に聞こえるかも大切なんです。

生まれつきだからこそ、自分の聞こえ方が普通だった

ここまで、りんごと虫食い問題の2つの例えを紹介しました。

私がこれらの例えを気に入っているのは、自分でも長い間説明できなかったことを、視覚的に表現できるからです。

生まれつき感音性難聴の私には、ほかの人が普段どんなふうに音を聞いているのかわかりません。

自分の耳を誰かと交換することもできませんしね(笑)。

だから、子どもの頃は、聞き返すことも、こそこそ話が聞こえないことも、どこか当たり前だと思っていました。

それが難聴によるものなのか、単に自分の理解力の問題なのか、区別することもできませんでした。

でも、大人になって自分の聞こえ方を少しずつ理解できるようになりました。

今では、こうして言葉やイラストで説明してみようと思えるようになったんです。

さいごに|感音性難聴の聞こえ方は人それぞれ

今回は、生まれつき感音性難聴の私が、自分の聞こえ方を2つの例えで紹介してみました。

1つ目は、ぼんやりと見えるりんご。

2つ目は、ところどころ穴が空いた虫食い問題。

どちらも、私が感じている「聞こえているのに、聞き取れない」という感覚を表現したものです。

もちろん、すべての感音性難聴の人が同じように感じているわけではありません。

あくまで、私自身の経験をもとにした例えです。

それでも、感音性難聴について知らなかった方に、

「音が聞こえることと、言葉を理解できることは違うんだな」

と感じてもらえたらうれしいです。

ちなみに、私は現在、補聴器を使って生活しています。

補聴器についても、実際に使ってみて感じることや、便利になったこと、困ることなど、いろいろあります。

そのあたりは、また別の記事で紹介してみようと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!